餅つきの準備

お正月が近づくと、田舎では餅つきの準備が始まる。
餅つきも日本のお正月の風物詩だ。
都会ではなかなか見ることは難しいだろうが、田舎へ行くと、どの家庭でも餅つきをしている。
どの家庭と言っても、最近の若い夫婦のお宅では家庭で餅つきをすることは今では見られなくなってしまったようだが、二世代、三世代が同じ屋根の下で暮らすお宅では一般的である。
毎年、おじいちゃんとお父さんが吐く息も白い、寒さが厳しい中、お正月のお餅もために腕を振るう。
その光景を見ると、あぁもう師走かと、お正月が近づいていることに気づかされる。
我が家でも毎年行っている。
おじいちゃんとお父さんが杵で餅をつき、おばあちゃんが慣れた手つきで餅をひっくり返す。
息の合ったタイミングでふかされたもち米があっと言う間に美味しそうなお餅になる。
真っ白でなめらかで、湯気が立ち上るつきたてのお餅だ。
我が家ではそれを三回繰り返す。
全部で三升である。
私もつかせてもらったことがあるが、思った以上に杵は重く、力もいる。
なかなか思い通りのところに杵を落とすのが難しく、少しでもコントロールを間違うと臼を叩いてしまう。
見ているのとは大違いで、至難の業だった。
子供の頃はおじいちゃんとお父さんがぺったんぺったんとついているのが面白くて、私もやりたくて仕方がなく、重い杵をお父さんに支えてもらいながら一生懸命ついた思い出がある。
それを見かねて、おじいちゃんが私たち兄弟用に、小さな杵を作ってくれた。
それでもやはり重たかったが、兄弟で毎年楽しく餅つきしたのを覚えている。
大人になった今でも、お正月に実家へ帰り餅つきを手伝うが、なかなか腰が入らず難しい。
それなのに80を過ぎたおじいちゃんはそれを軽々とやってしまう。
80近いおばあちゃんも今年も三度、面倒がらずにやっている。
長年の経験なのか生き甲斐なのか、将又それをやらずに年は越せないのか、まさに先人の英知に学ぶである。
そんな姿を見ると、昔に比べ細くシワシワになったおじいちゃんも、腰が曲がり小さくなったおばあちゃんも頼もしく見える。
こんな素敵な姿を年の終わりに見ることができて、これでいいお正月が迎えられそうだ。

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